写真は左から高山正之氏、大原康男氏、花岡信昭氏、伊藤哲夫氏
8/31、18時半より「逆流のなかで「保守」は何を為すべきか」と言うシンポジウムが開かれた。講師は高山正之氏(ジャーナリスト)、大原康男氏(國學院大學教授)、花岡信昭氏(産経新聞客員編集委員)、コーディネーターは伊藤哲夫氏(日本政策研究センター所長)
はじめに、花岡氏より参院選の解説があり、同選挙の「消耗感」を捉え、大変分かりやすくまとめられていた。特に小沢党首の選挙手法をワープ航法と呼び、過去も今までの主張も全て飛び越えて勝ち取った選挙と評した。
一方、高山氏は、小沢党首だけでは勝てず、この選挙の背後には朝日新聞の戦略が有ったと言う。朝日新聞による長期の格差キャンペーンや地震による原発キャンペーンが自民の敗北に繋がった。これほど新聞の力を感じた選挙もない。しかし、執拗なまでの安倍叩きには「虚脱感」を感じ、水に落ちた犬を叩く中国人を思わせた。
大原氏は、こうした朝日新聞の動きを左翼陣営が、危機を感じた証拠と言う。平成九年から日本国内に変化が起き、映画「プライド」や小林よしのり氏の「戦争論」などで保守が回帰し、平成十九年五月十四日参院本会議で国民投票法案可決で流れが固まった。これで左翼はなりふり構わぬ抵抗に出た。
花岡氏は、抵抗勢力が重点としている年金問題で民主優勢の中、一週間の選挙延期は民主党内でも大変心配していた事だと言う。現在、あれほど騒がれていた年金問題は何処へ行ってしまったのか?それは国民夫々が確認を始め、大半が問題なしと分かり、私憤としての年金問題は残るものの、沈静化に向かっていたからだ。しかし、その心配も絆創膏事件で杞憂と化した。
高山氏は、同選挙で(年金問題と密接な関係を持つ)団塊の世代が果たした役割も大きいと評する。それは彼らが現在の日本を作ったとの自負があり、その自信が民主を押し、政治の流れを変えてやろうと動いたことにある。しかし、すぐにその幻影に気がつき、内閣支持率10%以上のアップ率に繋がった。
大原氏は、内閣支持率10%以上のアップ率は安倍色を出すには不向きではあるが、妥協をせずに進めることが求心力の強化に繋がると言う。
伊藤氏より、11月で切れる特措法について水が向けられた。インド洋での自衛隊の活躍は単なる対米協調の問題だけではなく、世界が日本をどう見るかにかかっている。また、重要なシーレーンでもあり、自国の問題でもあるとする。
花岡氏は、インド洋からの撤退は国際社会からの孤立を意味すると話す。小沢党首は特措法で議会を混乱に持ち込み、安倍対決をするつもりだ。
高山氏は、インド洋撤退で国際社会から日本が大きな痛手を負ったとしても、変な妥協をするより小沢党首にやらせてみるのも一案である。湾岸戦争で日本は恥をかいたが、インド洋でも恥をかかないと日本は分からない。国連の議決と言っても国連自体が田舎の組合、そして組合長は韓国だと会場の笑いを誘った。
高山氏から日本には戦略がなく、戦略があるとすれば、それは朝日新聞だけだろうとの皮肉な賛辞?、伊藤氏からも朝日新聞とバカにせず、たまには読まないと戦略も読めないと締めがあった。
◇唸声コメント
花岡氏は政治部記者の立場から、高山氏は社会部記者の立場から、大原氏は学者としての立場から、この選挙を総括されたが、立場は違うものの流れの捉え方は非常に似ている。
国内だけを見ていては見誤る可能性が高いが、日本のジャーナリズムは海外のことを論じていない。島国ジャーナリズムでは小沢党首の術中に陥ってしまう危険を感じた。
ワープ小沢党首のような古い自民党体質と古い社会党体質をもった政治家は日本には不要。世界は刻々と変わっている。日本を誤った方向に進めてしまうのはだけは避けたい。
高山氏の豊富な経験による引用は大変参考になった。まとめには書いていないが、OJシンプソン、ルーズベルトと新聞王ハースト、ダッカハイジャック、台湾原爆開発など、歴史の真実の重みは何物にも変えがたい。
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