写真は車を貸して無期懲役となったライアン・ホール氏/ヘラルドトリビューン紙より、貸した車と同型のシボレー・メトロ
http://www.iht.com/articles/2007/12/04/america/04felony.php
http://www.cleanmpg.com/photos/data/506/95_-_01_Chevrolet_Metro.jpg
【USFRONTLINE12/6-親友に車貸し、殺人起きたら無期懲役~米国の刑法は本当に正当か】
重犯罪では共謀者も犯罪者と同じ罪を問われるという米国特有の刑法理念が、議論の的になっている。
ニューヨーク・タイムズによると、2003年3月10日の早朝、当時20歳だったライアン・ホールさんはフロリダ州クロフォードヴィルで、それまで何度もしていたように自分の車をルームメイトに貸した。そのルームメイトは、3人の男とともにマリファナ販売人の家にある金庫を盗もうとして乱闘になり、そのうちの1人が販売人の娘、ジェシカ・スナイダーさん(18)の頭部をその場にあった銃で殴って死なせた。
事件当時、現場から遠く離れた場所で酒を飲み酔っぱらっていたホールさんは、その後、重犯罪では共謀者も犯罪者と同じ罪を問われるという米国特有の刑法理念に基づき、第1級殺人で起訴され有罪評決を受けた。「車がなければ彼女は殺されずに済んだ」と検事は主張した。
法学者によると、その理念は、英国習慣法に基づく重犯罪殺人規定の上に成り立っているが、英国議会は1957年に無効にしている。1990年にはカナダ最高裁も、倫理的責任の度合いによって刑罰は決められるべきという基本的原理に反すると判断し、同規定を無効にした。
しかし、米国の多くの検事や遺族の権利擁護団体は、共謀者を犯罪者と同等に罰することが適切だと主張する。FBIの統計によると、2006年に起きた殺人事件の16%は、重犯罪(殺人、強盗、誘拐、強姦)の中で起きている。共謀者が殺人罪で起訴された割合は不明だが、重犯罪殺人規定は全米30州で一般的に適用されている。殺人を犯してなくても共謀者という理由だけで、過去30年間に約80人が死刑の評決を受けている。
スナイダーさんを殺害したチャールズ・ミラー・ジュニア被告は、死刑を求刑されたが、無期懲役の評決を言い渡された。ルームメイトのウィリアム・アレン被告に車を貸したホールさんと、ジェシカさんの頭蓋骨を砕いた殺人犯が同じ量刑を受けたことになる。
ホールさんにはそれまで犯罪歴はなく、ただ「俺の車を使えばいいよ」と言っただけだ、と無期懲役の評決を言い渡されたアレン被告は証言した。現在25歳になるホールさんは「金庫を盗みに行くと聞いた時は冗談だと思った」「実際には食べ物でも買いに行くのかと思っていた」と話している。
◇唸声コメント
「車がなければ彼女は殺されずに済んだ」との解釈により、車を貸した人間も殺人犯と同罪となった。殺人を犯すと知っていて車を貸した訳ではないのに、なんとも理不尽な話だ。銃を貸すのとは訳が違う。こうなると色々な屁理屈がつけられそうだ。米国は屁理屈大国だな。
今回の判例をみると、貸した車が事故を起こせば、間違いなく貸主に賠償責任が回ってくる。日本では「運行供用者」と貸主である「所有者」が同一であるかどうかは学説の分かれるところであるが、家族や友人に車を貸した場合は「所有者」が「運行供用者」と考える見方が強いようだ。つまり、日本でも友人に貸した車が事故を起こせば、その賠償責任は貸主に回ってくるというもの。
さて、日本も飲酒運転となると明確に規定されている。
車両等提供罪
〔飲酒運転を助長した者に対する罰則〕
○酒気を帯びていて飲酒運転することとなるおそれがある者に対する車両等の提供
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
(車両等の提供行為により車両等の提供を受けた者が酒酔い運転をした場合)
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
(車両等の提供行為により車両等の提供を受けた者が酒気帯び運転をした場合)
飲酒運転は割に合わない。タクシー料金が値上がりをしても、その方がずっとお得!飲酒運転は絶対に止めよう!
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