写真左はKnesset Membersより、右は6/20水曜会での講演より
http://www.knesset.gov.il/mk/eng/ShowPic_eng.asp?mk_individual_id_t=714
本年の8月には本国へお帰りになるコーヘン大使は、親日家であり、松涛館空手五段の腕前をもつ知日家でもある。予備役ではあるが中佐でもある大使は肩書きには関係なく、いざ鎌倉となれば、基地に駆けつける。これはどんなビジネスマンでも医者でも同じことだと笑顔が引き、精悍な中佐の顔になり話をされた。
さて、今回はあまり血腥い話はされなかったが、講演のポイントをご紹介しよう。
☆常に自問自答を続ける
何故、自分は武道をやるのか?大使と言う忙しい職務をこなしながら、毎年合宿までやっている。生活の一部か?こうした質問を続けていくことが大切である。
☆質問には質問で答える
小学1年生より質問をすることを習慣付ける。教師は「何故、質問をしないのか」との質問をする。質問には質問で応えて行くことにより、質問問答が繰り返され、真実に近づく。この質問の応酬がより深く物事を考えるようになり、ユダヤ人のものの見方の基本となっている。ユダヤの聖典・口伝律法の「タルムード」にもある。質問の応酬がヤダヤ人の生き方でもある。
◇参考/タルムードから
・賢人の質問は、その半分以上がすでに答えを含んでいる
・“よく質問せよ” 他人に対してだけでなく自分自身にも
・よい質問は、よい答えを引き出す
☆質問返しの例として、とある国際会議にて
日本の大学教授「イスラエルの国土は四国程度の面積しかなく、しかも60%が砂漠である。しかしながら、農業は自給自足であり、輸出まで行っている。どのようにすれば、こうしたことが可能になるのか?」
イスラエル産業相「日本には資源がないにも関わらず、世界第2位の輸出大国となっているのはどうしてでしょうか?」
コーヘン大使からは、「人間力」「勤勉」「結束力」が砂漠化を退行させ、豊かな農産物を作ると答えられた。
☆砂漠と農業
温暖化から世界中で砂漠化が進行しているが、イスラエルだけが砂漠化阻止に成功している。「砂漠と闘わず一緒に仕事をする」発想で、太陽熱、土壌、ITを駆使した有機農法を開発した。砂漠トマトは甘く全量輸出され、砂漠プールではエビ、魚の養殖が盛んだ。国連環境計画へも支援しており、イスラエル科学者と日本の経済人が協力できる分野だ。
☆イスラエルの若者は何を考えているのか?
ピアスや変な髪形をしている若者も一旦軍隊へ入れば、目を輝かせている。困難が子供達を強くし、結束を固めている。ユダヤの若者の発明が多いと言われるが、それは物事そのものを見ているのではなく、他との関係から見る習慣が身についているためだ。コップを例にすれば、コップそのものよりも、コップが何に関係しているのかをじっくりと考えることにある。
☆ニクソン大統領とペングリオン元首相の会話(たぶん1970年かな?)
ペングリオン「我が国には世界中からヤダヤ人が帰ってくるので、300万人もの人間の言葉はバラバラ、とてもたくさんの問題を抱えています」
ニクソン「我が国も多くの人種がいて2億人もいますよ」
ペングリオン「しかし、ニクソン大統領、大きな違いがあるのです。米国は2億人の市民、我が国は300万人の首相を抱えています」
◇第23回FEC中東問題研究会、2007/2/8より抜粋
片倉: かつてイザヤ・ベンダサンは「ユダヤ人と日本人は違う」と言った。パレスチナ紛争では強国の貴国が譲歩すべきと思うが。<元駐エジプト・イラク大使>
コーヘン大使: 彼はユダヤ人ではなかった。神道もユダヤ教も伝道を強要しない。両国とも狭い社会で、精神面が似ている。日韓も近隣同士でなぜ領土問題を起こすのか。中東も同様だ。
埴岡: 伊勢神宮の灯篭にはダビデの星と似た印があり、失われた十二部族が想起される。<FEC専務理事>
コーヘン大使: 自分も驚いたが、遺跡や書物で証明されていない。
コーヘン大使はここでも質問返しをされている。日頃から身についた習慣が感じられる。
委員会メンバー↓
http://www.fec-ais.com/committee/iinlist.html#nichichuto
伊勢神宮の六芒星の灯篭↓
http://www.naritacity.com/journal/japan/journal_japan_030115.asp
六芒星は清明紋とも呼ばれ、平安時代から使われていたので、ダビデの星との結びつけはかなり強引かと思う(唸声)
◇唸声コメント
李登輝氏にも通じるところがあるが、エリ・コーヘン氏に大和魂を感じた。武道には精神性を高め、その人間力を最大限に引き出す力がある。台湾やイスラエルとは日本の置かれた状況の違いもあるが、そんな状況など簡単にひっくり返ることもある。慰安婦問題で米国との蜜月の関係も崩れる恐れだってあるのだ。
戦後、日本は依存心が強くなってしまった。エリ・コーヘン氏や李登輝氏は自ら解決を求め行動をしている。その部分が逞しく見える。日本は反日国に囲まれ、米国ともギクシャクしてくれば、自身で解決の道を探るしかない。拉致問題も米国頼みでなく、日本がどうするかなのである。
「困難が人間を強くする」まさにコーヘン氏のおっしゃるとおりだ。
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