
写真はモンゴルガゼル、羊と言うより鹿に近い/RIA NOVOSTIより
中国・モンゴル国境地帯で黄羊(モンゴルガゼル、中国名は蒙古羚)が大量に死んでいるとモンゴルメディアにより報じられた。8/17の人民網では200頭が死亡したとされていたが、8/18の人民網では600頭を超えた。さらに被害は広がるものと見られる。
人民網では死因は血液性炭疽菌によるとしている。死亡したモンゴルガゼルの血液が付着した草を食べたモンゴルガゼルはやがて体内で増殖された炭疽菌の毒素で死んでしまう。また、伝染性も高く、34年前にはモンゴルで11000頭ものモンゴルガゼルが炭疽菌により死んでいる。
炭疽菌は栄養分がなくなると芽胞体となり、どんな悪条件の環境の中で何年も生き続ける。いつか動物の体内に入る機会を狙っており、炭疽菌の感染サイクルがいつまでも繰り返される。
炭疽菌は羊毛や皮革を扱う職人や解体作業員に感染するケースもある。主には皮膚の傷口から炭疽菌が浸入するものである。今回もモンゴルの東方省で10歳の男子が皮膚炭疽に罹患し、モンゴル当該県では警戒を発している。
炭疽菌感染後、24時間以内にペニシリンなどの抗生物質を投与することが必要、発症後では効かない。尚、人間用には予防ワクチンはない。
この炭疽菌は1876年、ロベルト・コッホにより発見され、1881年、ルイ・パスツールにより予防ワクチンが作られた。この人類最古の病原菌発見も、炭疽菌テロにより古くて新しいものに書き換えられた。
今回の炭疽菌感染もテロとは無縁なものと願いたい。
【RecordChina8/18-モンゴルとの国境地帯で羊200頭死亡、炭疽ウイルス発生か】
2008年8月17日、人民網によれば、中国とモンゴルの国境地帯スフバータル県付近で、200頭もの羊が死亡したと、MONGOLMEDIA.comが伝えた。原因は未だ不明だが、モンゴルの危機管理庁は炭疽ウイルス感染によるものと見ているという。
モンゴル伝染病予防部門の専門家が現地入りし、死亡した羊の科学検査を行うとともに、消毒や死亡した羊を埋めるなどの処置を行っており、隣接する他地域へのウイルス流出を未然に防ぐため、現地では厳重な警戒態勢がしかれているという。
モンゴルでは、1970年頃から炭疽ウイルスの活動が活発となり、これまで首都ウランバートルを含め多数の地域で炭疽ウイルスが発生している。炭疽ウイルスは人獣共通感染症で、感染した動物との接触や汚染肉を食べることなどにより感染し、皮膚炭疽症、肺炭疽症、腸炭疽症などを引き起こす。人から人には感染しないという。統計によれば、2007年にはモンゴルで19人が感染。2008年以降も家畜への感染例は発生しているが、人への感染は報告されていない。(翻訳・編集/岡田)
http://www.recordchina.co.jp/group/g22953.html
レコードチャイナの写真はモンゴルガゼルではないようだ。
写真は以下より
RIA NOVOSTI 2008/5/14-Thousands of Mongolian gazelles die trying to enter Russia
http://en.rian.ru/russia/20080514/107323138.htm
この記事では数千頭のモンゴルガゼルがロシア国境の有刺鉄線を越えられずに死んだと書かれている。モンゴル側のフェンスは無事越えられたが、ロシア側で引っかかってしまった。動物にも国境は重くのしかかる。ロシア側に植物と水が豊富であり、これをモンゴルガゼルは求めていた。
モンゴルガゼルの皮は艶やかで軽く暖かい、肉も美味しい、角は細工や解毒効果があると言う。
参考:人民網8/18-中蒙边境死亡黄羊增至600只 已确定为炭疽病毒所致
http://world.people.com.cn/GB/1029/7683534.html
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