写真は断食「カルバチョート」に着るサリーを買い求める女性たち/YouTubeより、サリー屋も書き入れ時だ!
写真は手に植物染料のヘナで「メヘンディ」を描いてもらっているところ/YouTubeより、ネイルアートが手や腕まで広がった状態かな?足にまで描く。色々なデザインがあるけど、ちょっと病的な感じだな。
10月15日、インド人の女性は、日の出前の3時から4時の間に食事を済ませ、月が出るまで水一滴さえ取らない断食をして、夫の長寿を願う。この日は、月が出たら、夫も早く帰り、妻に水と食べ物の一部を与えて、断食が終わる。月が出ても夫が帰らなければ、断食は続く。痩せる思いで夫の帰宅を待つのだ。
この日は、メヘンディをし、きれいなサリーで着飾る。夫は妻の愛を確認し、妻も夫への愛で空腹を紛らわす。おなかが空けば、何でも美味しくなる。断食は、食糧危機を迎える人類にとって、宗教を問わず、欠かせない儀式となるかな・・・。
ちなみに、この断食破りを英語で言うと「Breakfast」、fastは断食であり、朝食は断食破りなのだ。
【IZA11/21-《トレンド現象学》インド女性、夫の長寿願い断食 映画で広がる】
インドでは、夫の長寿を願って妻が断食を行う伝統儀式がある。「カルバチョート」と呼ばれるもので、毎年秋に行われる。今年は10月15日だった。
この日、妻は日の出前から月が出るまで一滴の水さえ口にしない。月が出たら断食が終わるが、食事前は、月に向かって水を手向け、祈りをささげなければならない。妻は手に植物染料ヘナで、幸運を招くとされる「メヘンディ」を描いてもらい、赤やピンク色の伝統衣装サリーやアクセサリーをつけて着飾る。
地域によっては、近所の女性たちが集まって神話を読み、カルバチョートの意味を胸に刻みながら、改めて夫の長寿を願うそうだ。
カルバチョートはもともとインド北部パンジャブ州やその周辺の州で、ヒンズー教の既婚女性によって行われてきた。ところが、近年は全国的に独身の若い女性や、ヒンズー教徒以外のイスラム教徒やキリスト教徒らの間でも断食する風景がみられるようになったという。
きっかけは、1995年に一世を風靡(ふうび)したヒンディー映画「Dilwale Dulhaniya Le Jayenge」(邦題「花嫁は僕の胸に」)。インドを代表する女優カジョールと俳優シャー・ルク・カーンの共演で、ロマンチック映画の代表作に挙げられる作品だ。
物語は家族の反対にあいながらもお互いへの思いを貫く男女が主人公。カジョール演じる女性が、好きになった男性(カーン)を思って断食を行う。すると、彼も彼女のことを思って断食していたことがわかる。
このシーンが全国の女性のハートをわしづかみにし、以来、カルバチョートが独身女性やヒンズー教徒以外の女性に広がった。
最近では、女性の社会的地位の向上を背景に、仕事を持つ妻の長寿を願って、妻と同じようにカルバチョートを行う夫もいるそうだ。
また、ニューデリーのような都市部では、同性愛者カップルにも取り入れられつつあるという。
10年前、ヒンズー教徒の隣人女性から誘われてカルバチョートを始めたというキリスト教徒のポーリーさん(52)は、「夫の長寿を願うという目的が素晴らしいだけでなく、ヒンズー、イスラムなどいろいろな宗教の隣人女性が集まっておしゃべりできるのも楽しい」と語る。女性にとっては“社交の場”であることも、伝統の広がりにつながっているようだ。(ニューデリー 田北真樹子)
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