写真左は「えっ何?」の李山司教/アルジャジーラ(英語)より、中は笑う李山司教、右は前任故傅鉄山司教/ウィキペディアより
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/A6854884-1FDC-47E3-AF7E-4957A6C9E554.htm
【宮崎正弘の国際ニュース・早読み9/23-北京の一方的任命のカソリック司教をローマが追認、驚くほどの妥協が背後で進んでいる】
なぜならパンチェン・ラマのニセモノをダライラマ猊下が追認したような、大事件だからだ。北京はダライラマ法王が認めた霊童を誘拐し、拉致監禁。そのかわり、どこの馬の骨とも判らない「霊童」を拾ってきて、これが「パンチェン・ラマの生まれ変わり」と言った。
いま、そのニセモノが中国全土のチベット寺院を巡回している。
ローマ法王ベネディクト16世は、中国の“政府”が認知するカトリック教会(つまりローマから見れば従来はインチキ教会)のジョゼフ・李山司教をカソリック北京教区司教として正式に承認した。
李司教は、この四月に死去した傅鉄山・北京司教の後任として、「中国カトリック会」から任命されていた。北京教区は中国国内のキリスト教会の総本山である。
まして「前任の傳鉄山司教は、共産党員であり、ローマへの強硬派として知られた」
(ヘラルドトリビューン、9月22日付け一面トップ)。
ローマ法王庁による李司教就任の追認事件は、無神論を国是とする中国共産党への追随、屈服を意味し、これは共産党独裁政権とローマ法王庁が、何らかの密約の元、次ぎに国交樹立へと模索する動きに嚆矢になるのではないか、アジアの自由諸国の内では緊張が拡がっている。
他方、ドイツのメルケル首相はダライラマ猊下を正式に首相官邸に招待する。北京の反発は猛烈で、在北京のドイツ大使を呼びつけて抗議した。
小生のみるところ、これは宗教マーケットと深い関係がある。
留学帰りを中心に中国全土でキリスト教は急速に広がりを見せているが、殆どが「表」の教会には行かず、「地下」の教会へ通う。
その数、およそ7000萬人。しかも、そのうち6000萬がプロテスタント系列。
カソリック系の焦りはただならず、マーケットを食い荒らされるという焦燥になって現れてきたのではないか。
◇唸声コメント
中国のキリスト教信者が7000万人とすれば、中国共産党員(2006年末7239.1万人)に肉薄する勢いである。宮崎氏が書かれているように「地下教会」信者のためにその数の捕捉は難しい。法輪功への弾圧が「地下教会」にも影響を与えている。
今回のバチカンの承認は中共政府内の修正も意味しているのであろう。今さら神を信じる共産党でもあるまいが、中共政府とキリスト教の共存を模索しているのかも知れない。7000万人はバチカンも中共政府も無視できない数字である。
太田述正氏のコラムでは中国には1億1千百万人のキリスト教信者がおり、この数は米国、ブラジルに次ぐキリスト教大国を意味するとしている。米国と中国が組めば、強力なキリスト教国が日本を挟むことになる。おまけに韓国もキリスト教国であり、日本はキリスト教国に包囲されている。
「日本のお姉さん」などキリスト信者の全てが反日ではないが、日本キリスト教団は九条の会や韓国との連携を強めており、反日的傾向が強い。
今回の中国へのバチカン承認は日本にとってもその意味は大きい。
◇参考/BBC9/21-中国北京新主教李山祝圣就任(中国語、写真有)
http://news.bbc.co.uk/chinese/simp/hi/newsid_7000000/newsid_7005900/7005955.stm
◇参考/太田述正コラム8/7-原理主義的キリスト教に飲み込まれる(?)中共
http://blog.mag2.com/m/log/0000101909/108936119.html?page=2
◇参考/唸声中国2006/12/17/本物のパンチェン・ラマは?(ニセモノの写真有)
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