ネスカフェが「インスタント」の名称を止めて、「ソリュブル」=可溶性にすると言うが、原点は110年前のシカゴの日本人化学者である加藤サトリ氏による発明から始まった。
写真は1903年8月11日に特許がとれた加藤サトリ氏の「コーヒー濃縮物および同製造過程」に関するパテント部分/プロテクティア・ブログより、加藤サトリ氏が世界初のコーヒー製法の特許を取得した。加藤氏は、「ソリュブル・グリーンティー=可溶性緑茶」を研究していたが、米国のコーヒー輸入業者と焙煎業者が加藤氏に、緑茶でなく、コーヒーでできないかと依頼し、加藤氏は製造法を確立し、1901年4月17日に特許出願、保存の問題点と、それを解決した方法を説明している。
http://www.protectia.eu/blog/wp-content/uploads/2012/12/US7357771.pdf
1901年、ニューヨーク州のバッファローで開催されたパンアメリカン博覧会で加藤氏のKato Coffee社は「ソリュブル・コーヒー」(可溶性コーヒー)として発表し、無料サンプルを配っている/ Winterthur Museum Libraryより
http://archive.org/download/katosouvenirpana00kato/katosouvenirpana00kato.pdf
1909年、加藤氏とは別の発明家George C.L. Washington氏が大量生産を開始し、第1次世界大戦中の米軍兵士たちにインスタント・コーヒーの配給品を供給し、商業的に成功を収めた。Washington氏は1906年に別の特許を取得しているが、加藤氏の特許との関連性など詳細はわかっていない。その後、スイスのNestlé社が、さらに改善された製法を開発し、1938年に『ネスカフェ』として製品を市販、ネスカフェは第2次世界大戦中の米軍兵士たちに供給された。
【産経8/28-“インスタントコーヒー”やめます ネスレ】
ネスレ日本(神戸市)の高岡浩三社長は28日、東京都内で開いた新製品発表会で9月から「インスタントコーヒー」という呼称をやめると発表した。
同社は9月1日に新商品「ネスカフェ ゴールドブレンド90グラム」を発売することにしているが、同商品から呼称は「レギュラーソリュブルコーヒー」に変えるという。
「ソリュブル」は英語で「溶ける」を意味する。新商品は、瓶に入った乾燥している粒状のコーヒーをお湯などで溶いて飲むもの。形態はこれまでの“インスタント…”と同じだが、品質にこだわり、新しい呼称でイメージアップを図る。新商品の価格は現行の同等品と同じ998円だが、内容量は10グラム少なくなる。
ネスレといえば、世界で初めてフリーズドライ製法によるインスタントコーヒーを開発した企業でもある。日本でも、コーヒーの普及に大きく貢献した、それこそインスタントコーヒーの“本家本元”だ。しかし、今回同社はここまで普及した呼称をあえて自らやめることにした。
高岡浩三社長は新製品発表会で「もはやインスタントコーヒーではない」と述べ、新呼称「レギュラーソリュブルコーヒー」への“移行”に決意をにじませた。
ソリュブルからインスタント、そして、もう一度ソリュブルに回帰したと言うお話!新しくて古い話!