
写真は死んでもWANTEDのスティーブ・ジョブス?OEMで儲ける吸血鬼との抗議プラカード/中国ネットより2012/2/14、(写真は過去のものかもしれません)
http://bbs.51cto.com/thread-913722-1.html
公正労働協会(FLA)がアップル製品の製造をしている富士康集団の深圳工場の労働環境調査を開始した。中国国内の富士康工場をめぐっては、自殺者が続いたり、労働環境の問題が指摘されていた。先月、アップルは公正労働協会の調査受け入れに同意しており、それに伴う調査である。
アップルだけがとてつもなく大きいので槍玉に挙げられているのが現状、もっと酷い労働環境の工場は中国国内にゴマンとある。
【IZA2/15-《今、何が問題なのか》iPadを作る人たち】
あなたのポケットやバッグの中に“人権侵害”が隠されているかもしれません-。タブレット型多機能端末「iPad(アイパッド)」など米アップルの製品を受託生産している中国の工場の労働環境の劣悪さの指摘が、米メディアで相次いでいる。アップルが先ごろ、生産を委託している企業名を公表したのは、そうした批判に応えたものだ。きょうのテーマは「iPadを作る人たち」とした。
■製品研磨で爆発事故
昨年5月、iPadを生産する電子機器大手、フォックスコン(富士康)の四川省成都の工場で爆発事故があり、従業員4人が死亡、18人が負傷した。ニューヨーク・タイムズ紙が先月(1月)末、アップルの担当者やフォックスコンの従業員(いずれも退職者を含む)らへのインタビューをもとに、事故の背景を探る長文の記事を掲載した。
フォックスコンは中国最大の輸出企業で、従業員は120万人。中国各地に工場を持ち、アップルだけでなく数多くの著名企業の電子機器の生産を請け負っている。05年に英紙が携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」を生産する深圳の工場に潜入取材し、長時間労働や詰め込みの従業員寮などの実態を報じた。また、深圳の工場などで09~10年、従業員の自殺が相次いだ。
フォックスコン成都工場の爆発事故は、製品の研磨で発生する可燃性のアルミ粉塵(ふんじん)が原因だった。昨年12月には、iPadを受託生産している上海の別の中国企業の工場でも爆発事故が起き、59人が負傷したが、これも原因は同じであるという。
■仕事は山ほどある
ニューヨーク・タイムズ紙の記事によると、成都工場は24時間稼働し、「今日一生懸命働こう。でなければ明日一生懸命(別の)仕事を探そう」のスローガンが掲げられていた。大学卒の青年(22)は週6日、1日12時間働いた。1日の稼ぎは22ドル(約1650円)くらい。事故当時、従業員は研磨すべき製品が山のようにあると告げられ、工場内はおおわらわだった。青年は全身やけどで死亡。遺族には15万ドル(約1125万円)相当の見舞金の送金があったという。
工場の劣悪な労働環境は、直接的には、アップルの責任ではない。05年の英紙の潜入取材に基づく報道をきっかけに、アップルは委託生産企業に対する監査を行うようになり、従業員の不当な扱いを見つけると改善を求めた。だが、受託生産企業の利益はもともと薄く、アップル側は生産企業の従業員の給与など、経費の詳細を把握している。生産企業が利益を増やそうとすれば、労働環境面で節約する他ないのだという。
アップルは先月(1月)、委託生産企業156社の名前を公表した。これらの企業で労働環境面での問題が起きれば、知らんぷりはしないということらしい。
■委託生産で利益
アップルはもうけているのに、日本のライバル企業は軒並み赤字で、その原因の一つとして日本企業の自前主義の体質が指摘される。開発から生産、販売までのすべてを自社で行うやり方だが、生産部門は利益が出にくい。だが、自前主義を通せば、中国企業の労働者酷使に手を貸すことにはならないのだ。また、アップルはもうけているのに、中国企業などに委託しているから、米国の失業率改善に貢献することもない。
もっとも、生産の大半を委託し、委託先の劣悪な労働環境が問題になっているのはアップルだけではない。冒頭に紹介した問いかけ(米公共ラジオから)でも分かるように、アップルの場合、スマートな製品と中国人労働者の酷使が鮮やかなコントラストを描き、成功へのやっかみもあって、取り上げられやすいようなのだ。
(編集委員 内畠嗣雅(うちはた・つぐまさ)/SANKEI EXPRESS)